【Alp旅 vol.02】藤野の山間で土と向き合う、山田隆太郎さんの工房へ

【Alp旅 vol.02】藤野の山間で土と向き合う、山田隆太郎さんの工房へ

 東京から山梨をつなぐ中央道。韮崎と東京を行ったり来たりする私たちにはすっかりお馴染みの道ですが、もともとこのルートはとても険しい道だったそう。その証拠に、東京と京都をつなぐ東海道も中山道も、このルートを避けるように引かれています。その道すがら、東京から山梨に向かって相模湖を過ぎるあたりに「藤野」というエリアがあります。

もとを辿ると、戦時中に藤田嗣治や猪熊弦一郎など著名な芸術家が疎開してきた歴史があり、アートに教育にまちづくりに、もう数十年前から、地域の未来を考えながら、地域住民が多様な取り組みを続けてきたエリアです。相模川がつくる渓谷的な風景は美しくものんびりとしており、なんとも居心地のよい空気が流れていますが、最近では市民電力や地域通貨にも力を入れているそうでなんともエネルギッシュな地域です。

そして藤野は、陶芸の里でもあります。今回訪れた山田隆太郎さんも、藤野に工房を構える陶芸作家のひとり。山田さんの工房へは、藤野の市街地からしばらく山間の道を進みます。今回は冬なのでちょっとさみしい道すがらでしたが、初めて伺ったときは、ちょうど山の木々に藤の花が咲いていた春の季節で、青々とした木々も印象的でした。

おー、こんな道だったねぇ、と言いながら工房へ到着。「久しぶりですー」と気さくに温かく迎えてくれる山田さん。そう、山田さんはとても気さくな方なのです。横目に工房の縁側を見ると、そこにはずらりと大きな壺、壺、壺。山田さんはこのしばらく、壺たちを相手に格闘しているよう。まさに人と土の取っ組み合い。いや、対話でしょうか?

最近の近況をお互い話しつつ、仕入れるうつわを選ばせてもらうために工房の中へ。この空間は、山田さんのうつわを使っていらっしゃる方からするとヨダレものでしょう。決して狭くはないはずなのですが、多彩で多作な山田さんのさまざまなうつわたちが所狭しと並んでいます。手に取るうつわがどれもこれも素敵で全部連れて帰りたくなりますが、吟味して吟味して、結局2時間半ほどかけて仕入れるうつわをなんとか選定。

山田さんのうつわは、「こうしてみよう」という山田さんの作為が色気として表層に出るのではなく、自然とうつわの中に溶け込んでいる感じがやっぱり良い。のびのびとして力強く、そしてモノによっては凛としたシャープさがあり、また別のものはぷっくりとした生き物のような可愛らしさがあり。

たとえば山田さんの代表作であるフラットプレートは、じっくり見るほどに「かっこいい!」と感じる一枚。様々なニュアンスの色がありますが、特に白色のプレートを真上から覗き込んでみると、まるで望遠鏡で覗いた、地表もくっきり見える月のよう。吸い込まれるような魅力があります。

「何が正解か分からないまま、作ってる感じだけどねえ」と、壺との取っ組み合いに没頭中の山田さんからさりげなく出た言葉。答えのない不安を傍らに受け止めながら、自分らしさをうつわに注ぐ。山田さんのしなやかな強さを感じた一言でした。

最後に、今回の訪問のもうひとつの目的をご紹介。それは兼ねてより山田さんのInstagramでその存在を知り、Alpスタッフ内で話題になっていた山田家の新メンバー「ナナちゃん」に会うこと。めちゃくちゃかわいかったです!人懐っこいナナちゃん、私たちが選んだうつわを山田さんにチェックしてもらっている間に散歩もさせてもらい、はじめましての私でも気さくに散歩に付き合ってくれました(近隣は斜面ばかりでしたが笑)。

 

<<山田さんのうつわ、オンライン販売のお知らせ>>
3/17(日)21:00より今回仕入れた山田さんのうつわのオンライン販売を開始します。一点ものも多数取り揃えておりますので、ぜひチェックしてみて下さい。

https://ec.alpshop.jp/collections/yamadaryutaro 

 

 

Alpスタッフ立ち寄りおすすめスポット 藤野編

旅の途中にAlpスタッフが立ち寄ったおすすめスポットをご紹介!

中華料理・大和屋

とても美味しい担々麺と麻婆豆腐が頂けるお店。化学調味料は使わない、優しくも奥深く、パンチもある味わいが胃袋を鷲掴みにします。お酒も充実しているので(生ビールはハートランド!)、今度は何とか都合をつけて夜に伺いたいところ。

gallery & cafe gallery studio fujino

藤野の山奥にある隠れ家的なギャラリー兼カフェ。建物のアプローチからすでに気持ちが高まるしつらえですが、店内に入ると「え!こんな場所にこんな素敵な空間が!」という気持ちに。カフェも併設で、ゆったりと豊かな時間が過ごせます。

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